自然物コレクション図鑑

砂岩とは?粒々とした感触を持つ石の特徴と見分け方を解説

Tags: 砂岩, 堆積岩, 石, 地質, コレクション

砂岩(さがん)とは

砂岩は、主に砂サイズの粒子(直径0.0625 mm〜2 mm)が集まってできた堆積岩です。河原や海岸など、私たちの身近な場所で見られる岩石であり、地層を構成する主要な岩石の一つでもあります。触るとざらざらとした感触があるのが特徴です。

基本情報

砂岩は、地表の岩石が風化・侵食されてできた砂粒が、水や風によって運ばれ、ある場所に堆積し、長い時間をかけて固まってできた岩石です。堆積岩の中でも、粒子の大きさが「砂」の範囲に属するものを砂岩と呼びます。

詳細な特徴

形態

砂岩の最も基本的な特徴は、構成する粒子が砂サイズであることです。それぞれの砂粒が肉眼またはルーペで確認できることが多く、その集合体として岩石が形成されています。粒子と粒子の間は、「セメント物質」と呼ばれる別の物質(シリカ、炭酸カルシウム、粘土鉱物など)によって固められています。 岩石全体としては、厚い層として広がることもあれば、川の堆積物のようにレンズ状になっていることもあります。堆積した環境によっては、層理と呼ばれる縞模様や、クロスラミナ(斜交層理)と呼ばれる特徴的な内部構造が見られることがあります。大きさは様々ですが、手に取れる小さな石から、大きな岩体、広大な地層まで存在します。手で触ると、構成粒子である砂の感触によってざらざらとしています。

色・光沢

砂岩の色は、構成する砂粒の種類や、セメント物質、あるいは含まれる微量の鉄分などによって多様です。一般的な色としては、灰色、黄褐色、茶色、赤褐色などが見られます。含まれる長石が多いと白っぽい色になり、石英が主体だと透明感のある粒子が見られます。鉄分が多いと赤みを帯びた色になります。 通常、砂岩の表面に目立った光沢はありません。構成鉱物によっては光沢を持つ粒子(例: 石英)を含みますが、岩石全体としては粒子間のセメント物質が光を散乱するため、鈍い質感を持つのが一般的です。

硬さ・もろさ

砂岩の硬さや脆さは、主に粒子を固めているセメント物質の種類と量によって大きく異なります。 * 珪質砂岩: セメント物質がシリカ(二酸化ケイ素)の場合、非常に硬く、割れにくい性質を持ちます。ハンマーで叩いても簡単には割れません。 * 石灰質砂岩: セメント物質が炭酸カルシウムの場合、比較的硬さはありますが、酸に反応して泡を出すことがあります。 * 泥質砂岩: セメント物質が粘土鉱物の場合、比較的脆く、風化しやすい性質を持ちます。手で崩れるほど柔らかいものもあります。 一般的には、粒子の間にセメントが充填されているため、粒子単体よりも硬いですが、他の岩石に比べると風化しやすい部類に入ります。

産地・生息環境

砂岩は、地層として非常に広く分布している岩石です。砂が堆積する環境、すなわち河川、湖、砂漠、浅い海、深海など、様々な水域や陸域で見られます。特に、かつて河口であった場所や、波打ち際、扇状地などが形成された場所の地層によく見られます。採集場所としては、河原、海岸、崖、工事現場の露出した地層などがあります。特定の地質時代に形成された砂岩層が、特定の地域に広範囲に分布していることもあります。

生成・形成過程

砂岩は、岩石の風化と侵食によって生じた砂サイズの粒子が、水や風の働きで運搬され、平野や海底などに堆積することで形成が始まります。このようにして堆積した砂の層の上に、さらに新しい堆積物が重なると、下にある砂の層は上の堆積物の重みによって押し固められます(圧密作用)。 圧密が進むと、砂粒同士の隙間(間隙)が狭まります。この間隙を地下水などが流れる際に、水に溶けていたミネラル成分(シリカや炭酸カルシウムなど)が沈殿し、砂粒同士をくっつける「セメント」として機能します。この作用を膠結(こうけつ)と呼びます。 数百万年、あるいは数千万年といった長い地質学的な時間をかけて、圧密と膠結が進行することで、バラバラだった砂粒が固められ、硬い岩石である砂岩が形成されます。形成された後、地殻変動によって隆起し、地表に露出することで、私たちは砂岩を目にすることができるようになります。砂粒の種類や堆積環境、セメント物質の種類によって、様々な特徴を持つ砂岩が生まれます。

似ているものとの見分け方

砂岩は、構成する粒子の大きさによって定義されるため、他の堆積岩や似た見た目の岩石との区別が重要です。

これらの岩石を見分ける際は、粒子の大きさ、形状、岩石全体の触感に注目することが重要です。ルーペを使って粒子を観察すると、砂岩の砂粒がはっきりと見えるのに対し、泥岩では見えず、珪岩では砂粒が融着している様子が観察できます。

関連知識

砂岩は古くから建材や石材として広く利用されてきました。耐久性があり加工しやすいものがあるため、歴史的な建築物や彫刻にも使用例が見られます。また、地下に存在する砂岩層は、地層中の水や石油、天然ガスを貯留する重要な役割を果たしており、資源開発においても重要な岩石です。 砂岩の観察を通して、過去の地球の環境や、どのようにして砂が運ばれ堆積したのか、といった地質学的な歴史を読み解くことができます。例えば、含まれる砂粒の種類(石英が多いか、長石や岩片が多いかなど)や、層理の形(川の堆積物か、海の堆積物かなど)は、堆積当時の環境を知る手がかりとなります。採集する際は、崖の近くなど崩落の危険がある場所には近づかないなど、安全に注意することが大切です。

まとめ

砂岩は、身近に見られる堆積岩であり、砂サイズの粒子が集まってできた、ざらざらとした触感が特徴の石です。構成する粒子やセメント物質によって多様な色や硬さを持ち、河川、海岸、海底など様々な環境で形成されます。礫岩や泥岩、変成岩など、似た岩石との見分けは、主に粒子の大きさや触感、構造を観察することがポイントです。砂岩を調べることは、地球の過去の姿や、堆積物が岩石へと変化する壮大なプロセスを理解する第一歩となるでしょう。